配偶者の死 Death of Spouse
- At December 13, 2013
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<配偶者の死 Death of Spouse>
米国に居住する米国籍の夫が亡くなり、遺族は永住権の妻と子供一人です。遺された財産は米国と日本にあります。
米国の遺産税 連邦遺産税は、亡くなった人が遺した財産に課せられる税金です。死亡者が米国籍の場合、米国および外国の全世界財産が連邦遺産税の対象となります。遺産税の計算は、日本の相続税のように各相続人ごとに行うのではなく、相続財産の総体で行います。全世界財産が基礎控除(2014年534万ドル)を超えた場合に遺産税が発生します。
生存配偶者への遺産分割は、婚姻控除(Marital deduction)の適用により免税となります。例えば、生存配偶者が遺産のすべてを受け継ぐ場合、534万ドル(2014年)を超えていたとしても遺産税はゼロとなります。ただし、婚姻控除は財産を受け継ぐ側の配偶者が米国籍である場合にのみ適用され、永住権の場合は配偶者免税は認められません。財産を遺す側の配偶者の国籍は、米国籍でも永住権外国籍でもかまいません。生存配偶者が永住権の場合、遺産総額が基礎控除(2014年534万ドル)を超えていなければ遺産税は発生しません。
日本の相続税 日本の相続税は、米国の遺産税と逆に、遺産を受け継ぐ相続人が課税されます。亡くなった米国籍の夫と永住権の日本人妻の両方が相続開始前に5年を超えて日本国外に居住していたため、日本国内の財産だけが日本の相続税の対象となります。遺産の金額が基礎控除を超える場合、または配偶者控除1億6000万円を超える場合に、相続税の支払いを必要とします。(264)
米国滞在中の死 Death of Japanese Citizen in the U.S.
- At December 13, 2013
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<米国滞在中の死 Death of Japanese Citizen in the U.S.>
日本の本社から現地法人子会社へ出向で来ている駐在員が、交通事故で亡くなりました。遺言は残しませんでした。Eビザ、米国(NY州)滞在年数は6年。遺族は妻と子一人で、遺された財産は日本と米国にある住居と銀行預金です。無遺言死亡の場合のプロベート裁判所手続の問題がありますが、ここでは米国遺産税と日本の相続税の課税についてだけ検討します。
▽米国の遺産税 遺産税の居住者・非居住者の区分は、所得税の区分と異なります。遺産税上は滞在日数によらず、Domicile (いずれは帰ってくる故郷や本籍地のこと)が米国内にあるかどうかで居住者・非居住者の判定が分かれます。そのため、Eビザ保持者は勿論のこと、永住権保持者の多くが非居住者として区分されます。非居住外国人の課税対象遺産は、米国内財産に限られ、米国外財産は非課税です。非居住外国人の米国銀行預金は定義上米国外財産と見なされて非課税です。課税対象遺産から基礎控除を差し引いた残額に税率を掛け合わせて遺産税を算出します。非居住外国人の基礎控除は一律6万ドル、または日米相続税条約第4条に基づく金額であり、それは米国市民用の基礎控除534万ドル(2014年)に課税対象遺産が全世界遺産総額に占める割合を掛け合わせて得られた按分配賦額です。婚姻控除(配偶者免税)は認められません。
▽日本の相続税 被相続人(故人)と相続人(遺族)の双方の住所が、過去5年以上日本国外にあったため、日本国外財産(米国の住居と米国銀行預金)については日本の相続税の対象外です。課税対象となるのは、日本国内財産だけです。(263)
米国籍の代襲相続人による相続 U.S. Citizen Substitute Inheritance
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<米国籍の代襲相続人による相続 U.S. Citizen Substitute Inheritance>
▽代襲相続人 日本で祖父が遺言を残さずに亡くなり、遺した財産は日本にある不動産と銀行預金、そして米国にある銀行預金です。祖母(配偶者)は10年前に、一人娘である母は5年前に、それぞれ死亡しました。遺族は米国籍の母の子(孫)と日本在住の大叔父(祖父の弟)の二人の血族生存者だけです。相続人となる筈であった祖父の唯一の子(母)が相続開始以前に死亡したため、孫に相続権が移ります。この場合の孫を「代襲相続人」、子を「被代襲者」といいます。代襲相続人は、本来相続人となるべきであった人の身代わり相続人ですから、孫は子と同じ第一順位の血族相続人とみなされます。第一順位の代襲相続人である孫がいるときは、第二順位の直系尊属と第三順位の兄弟姉妹は相続人になることができません。従って、大叔父に相続権はなく、米国籍の孫一人だけが法定相続人となり、祖父の遺産のすべてを相続します。
▽日本の相続税 相続人が米国籍であっても、日本の相続税は日本国内財産および国外(米国内)財産のすべての財産が課税対象となります。課税財産が基礎控除額である3600万円を超過した場合に、相続税(10%~55%までの累進税率)の申告と納税を必要とします。
▽米国の遺産税 連邦遺産税は、亡くなった祖父の税法上の身分が非居住外国人であるため、特定の米国内財産があるときだけ課税され、米国内財産がなければ課税は一切発生しません。非居住外国人名義の銀行預金は、税法定義上、国外財産として扱われ、課税対象にはならないことになっています。海外での相続に関する、IRSに対する報告書フォーム3520の提出を必要とします。(262)
米国籍による相続 Inheritance by U.S. Citizen
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<米国籍による相続 Inheritance by U.S. Citizen>
日本に居住する日本国籍の父親が亡くなり、法定相続人の一人が米国籍の子である場合、日本の相続税と米国の遺産税がどのように課税されるか検討します。
▽日本の相続税
米国籍の相続人が受け継ぐ財産が日本国内財産の場合、他の日本国籍の相続人と同様、日本の相続税が課税されます。受け継ぐ財産が日本国外(米国内)財産であっても同様に課税されます。米国籍相続人が相続人である場合、国内財産、国外財産の区別なく、遺産の総額が日本の遺産税の対象となるということです。
▽米国の遺産税
遺産の中に非居住外国人(父親)名義の米国内財産があれば、誰が相続人であるかを問わず、連邦遺産税が課税されます。相続人の国籍や永住権の有無、遺産分割方法は、連邦遺産税の決定に何ら影響を与えません。課税対象となるのは、不動産や米国法人発行の株・債券など一定の米国内財産だけに限られ、米国銀行預金や外国株式・債券、生命保険金は、非課税扱いの米国外財産とされます。例えば、米国で遺されたのは父親名義の銀行預金口座だけで、他のすべての遺産は日本にある場合、課税されるのは日本の相続税だけで、米国では連邦遺産税は生じません。連邦税が課せられない米国外遺産の受取りは、その内容と金額に関する報告をIRSに対して行う必要があります。(261)
永住権保持者による相続 Inheritance by Green Card Holder
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<永住権保持者による相続 Inheritance by Green Card Holder>
日本で父親が亡くなり、米国に住んでいる子(永住権保持者)が遺産を相続する場合、日本の相続税のほかに米国の遺産税(Estate Tax)も課税されるのではないかとの疑問が生じます。その答えは、米国税法上の非居住外国人である父親が遺した遺産の中に一定の米国内財産があるかどうかによります。
日本の相続税
亡くなった日本国籍の父親の住所が日本にあったため、財産を受け継ぐ相続人が日本国籍者である以上、日本国内および国外のすべての財産が日本の相続税の対象となります。相続人の居住国や米国永住権の有無は、相続税の課税・非課税の決定に影響を与えません。遺産の中に日本国外(米国)財産があるため連邦遺産税が課税されて二重課税になる場合には、日本で外国税額控除の適用を受けて二重課税の一部または全部が回避できます。
米国の遺産税
米国税法上の父親の身分は非居住外国人であるため、課税対象となる遺産は一定の米国内財産(不動産、家具、車、宝石等の有形資産、米国法人発行の株式、米国債券)だけに限定されます。非居住外国人名義の米国銀行預金や外国株式・債券、生命保険金は、遺産税法上非課税です。米国内財産は父親名義の銀行預金口座以外に何もなく、他のすべての相続財産は日本にある場合、米国では連邦遺産税も所得税も発生しません。連邦遺産税が課せられずに海外で受け継いだ遺産は、その内容と金額Iに関する報告をIRSに対して行う必要があります。(260)
相続税(日本)と遺産税(米国) Inheritance Tax (Japan) and Estate Tax (U.S.)
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<相続税(日本)と遺産税(米国) Inheritance Tax (Japan) and Estate Tax (U.S.)>
日米に家族がいる人が亡くなると、遺産を遺した故人(被相続人)と遺産を受け継ぐ遺族(相続人)の居住国や財産の所在国に応じて、日本と米国の両国、あるいはいずれか一方の国で相続税・遺産税が発生します。日本の相続税 (Inheritance tax) は、財産を受け継ぐ遺族(相続人)に対する課税であるため、納税義務者は相続人です。 米国の遺産税 (Estate tax) は故人(被相続人)の遺した財産(遺産)に対する課税であるため、納税義務者は被相続人(実際には遺産管理人・執行人)です。贈与税も同様に、日米で納税義務者が逆になっていて、日本では受贈者が、米国では贈与者が納税義務者になります。
日本の相続税は、2014年現在、10%から55%までの10段階の累進税率で、課税対象となる相続財産が基礎控除の金額を超える場合に税金の支払を必要とします。基礎控除は3000万円の定額控除に法定相続人一人当たり600万円の比例控除を加えた金額です。法定相続人の人数が多ければ基礎控除も増加して、相続税の総額が減額する仕組みとなっています。
米国の遺産税は、18%から40%までの10段階の累進税率で、課税対象となる遺産の金額が基礎控除534万ドル(2014年) を超えれば税金が発生します。永住権保持者は外国籍であるため、必ずしもこの大幅控除の恩恵を受けられるとは限りません。永住権保持者が米国にDomicile (定住地) があり、遺産税・贈与税法上、米国籍と同等の身分判定を受けることができれば、534万ドル(2014年)の基礎控除の適用を受けます。非居住外国人は、課税対象となる遺産の種類や基礎控除が異なるため注意を要します。(345・259)
海外贈与・相続の報告 Report of Foreign Gifts and Bequests
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<海外で受け取った贈与・相続の報告 Report of Foreign Gifts and Bequests>
海外で受け取り、米国では課税対象外の贈与や相続、たとえばグリーンカード保持者が日本で贈与税・相続税を納めて親から受け継いだ不動産や預金は、連邦申告書フォーム3520 (Annual Return To Report Receipt of
Certain Foreign Gifts) に詳細を記入の上、IRS(内国歳入庁)へ提出する義務があります。提出期限は所得税申告書の提出期限と同じ暦年終了後の4月15日(延長可)です。提出義務者は、海外贈与・相続の受贈者・相続人です。遅延申告はペナルティーが課せられます。
申告書フォーム3520の記入事項は、次の通りです。
1. 納税者の氏名、納税者(ソーシャル・セキュリティー)番号、住所、配偶者の納税者番号
2. 課税年度内に非居住外国人から受け取った10万ドル超の米国では非課税の贈与や相続、遺贈
暦年中の移転で時価5000ドル超の財産ごとに、移転日、財産の内容説明、時価を記載
3. 課税年度内に外国企業・外国パートナーシップから受け取った1万4723ドル超(2012年)の贈与
移転日、贈与者名、同住所、納税者番号、法人・パートナーシップの別、財産の内容説明、時価を記
4. 代理人による支払の有無
5. 該当出国者(一定条件に該当する永住権放棄者)から年間贈与非課税額(2013年、2014年は1万 4000ドル)超の贈与を受け取った場合、その有無。有は贈与税申告書フォーム708を提出して納税すること。(258)
「連邦統一移転税(贈与税・遺産税)」Federal Unified Transfer Tax
- At December 13, 2013
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<「連邦統一移転税(贈与税・遺産税)」Federal Unified Transfer Tax>
米国の贈与税(Gift Tax)と遺産税(Estate Tax)は別個の課税制度ではなく、両税が連邦統一移転税 (Federal Unified Transfer Tax)の一環として存在しています。米国の遺産税は、日本の相続税(Inheritance Tax)に相当します。贈与による財産の移転のたびごとに贈与者が年間贈与税を支払いますが、それはあくまでもその納税者の死亡時の遺産に課される遺産税の前払いにすぎず、生前に課税対象となったすべての贈与財産は死亡に際し遺産に加算されて、生涯財産移転額に対する遺産税が計算されます。次に過去に納付した贈与税の累積額が税額控除の形で清算されます。
遺産税の最高税率は、2007年~2009年45%、2010年0%、2011年、21012年35%、2013年以降40%となります。贈与税の最高税率は遺産税と同じですが、2010年だけ35%が適用となります。
米国の贈与税の納税義務者は、贈与をした者(贈与者)となっています。日本の贈与税の納税義務者は、贈与を受けた者(受贈者)であり、日米で逆になっています。同様に、相続税・遺産税の納税義務者も日米では逆で、日本では相続人が、アメリカでは被相続人が、それぞれ納税義務を負います。(252)
国際相続
- At November 20, 2013
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