概算額控除(Standard Deduction)

納税者は概算額控除(Standard Deduction)と項目別控除(Itemized Deduction)の2種類の控除方式のうちいずれか有利な控除方式を毎年選択することができます。標準控除、定額控除と訳されることもある概算額控除は、具体的に経費項目をあげずに所得から一定概算額の控除を差し引くという簡易方式です。項目別控除は個人消費生活にかかわる経費のうち、税法上認められるものを項目別に並べて、その合計額を控除するという方式です。

 

概算額控除の金額は、毎年インフレ調整が施され、独身、既婚者などの区分によって異なります。概算額控除の2016年の金額は次の通りです。カッコ内は2015年の金額です。

独身       6300ドル(6300ドル)

夫婦合算申告    12800ドル(12600ドル)

夫婦個別申告   6300ドル(6300ドル)

特定世帯主    9300ドル(9250ドル)

65歳以上の高齢者は、独身1550ドル(1550ドル)、既婚者1250ドル (1250ドル) の追加控除が認められます。

 

証拠書類がなくても認められて、いたって便利な概算額控除方式を選択できるのは、米国市民または一年中米国に滞在していた居住外国人に限ります。非居住外国人の場合は、概算額控除の採用は認められず、必ず項目別控除を適用しなければなりません。(560)

概算額控除

<概算額控除>

連邦所得税の計算過程で、納税者は2種類の控除方式、すなわち概算額控除と項目別控除のうち1方式を選択しなければなりません。概算額控除(Standard Deduction)は、標準控除と呼ばれることもあります。概算額控除は、具体的な経費項目を挙げずに、一定概算額による控除が認められるという簡便方式です。その金額は、独身、夫婦合算申告、夫婦個別申告、特定世帯主のうち、どの申告資格を適用するかによって異なります。そして、毎年、消費者物価指数に基づいてインフレ調整が施されます。2014年の概算額控除は次の通りです。カッコ内は2013年の金額です。

独身————-$6,200 ($6,100)
夫婦合算申告-$12,400 ($12,200)
夫婦個別申告–$6,200 ($6,100)
特定世帯主—–$9,100 ($8,950)

65歳以上の高齢者の場合、または、年齢に関係なく盲目の場合は、それぞれ追加控除が規定されています。追加控除の金額は、独身$1,500、既婚者$1,200であり、独身で盲目だと$3,000、夫婦共に65歳以上は$2,400という具合に、追加ファクターの倍数の金額となります。

概算額控除は、経費の証拠書類がなくても一定額の控除が取れるので、いたって便利です。しかし、この控除方式を選択できるのは、アメリカ市民または一年中アメリカに滞在している居住外国人に限ります。非居住外国人や二重身分の外国人の場合は、概算額控除の採用は認められず、必ず項目別控除を適用しなければなりません。なお、二重身分とは、同一年度に居住者と非居住者の両方の身分を有する外国人のことです。最初にアメリカに入国した年度、また、最終的に出国した年度に外国人の税法上の身分は二重身分となります。
(459)

減価償却

<減価償却>

家具や機械、車、コンピューター、不動産などの固定資産を購入して事業の用に供した場合、購入年度に取得費を必要経費として一括費用計上するのではなく、年の経過によって固定資産の価値が経済的、物理的に減少する期間にわたって配分計算して費用計上することを減価償却と呼びます。減価償却とは、資産の購入代金(取得費)を資産が使用できるであろう期間(耐用年数)にわたって配分し、経費(減価償却費)にしていく方法のことです。

固定資産は、3年から40年までの9段階の資産に分類され、それぞれの「耐用年数」と、定額法あるいは定率法の「償却方法」を適用して減価償却を計算します。居住用賃貸不動産については、取得費のうち土地部分を除いて建物部分のコストを把握し、耐用年数は米国内資産27.5年、海外資産40年、償却方法は定額法を適用して計算します。減価償却の計算は、鉄筋、木造、新築、中古の区別なく一様に適用されます。鉄筋、木造、新築、中古など不動産の種類によって異なる耐用年数が適用される日本の規定とは大きく異なる点です。賃貸住宅用家具は5年、事務用家具は7年で、定率法を適用して償却します。減価償却の途中で不動産を譲渡した場合、売却価格から建物部分の未償却費用(残存価格)と土地部分、譲渡費用を差し引いた金額が譲渡所得(売却益)となります。(306)

自宅内事務所の控除

<自宅内事務所の控除>

自宅の一部を仕事で使用している場合、項目別控除(スケジュールA)の一つとして、あるいは自営業事業所得の必要経費として、自宅内事務所の控除(フォーム8829)が認められます。控除が認められるための条件として、①占有的・恒常的使用、および、②雇用主の便宜があります。

① 占有的・恒常的使用
控除が認められるためには、自宅が事業目的に占有的および恒常的に使用されていなければなりません(IRC(内国歳入法)第280A条)。「占有的使用」とは、部屋または住居の一定空間を事業用に占有使用していることを言います。事業用と個人生活用に併用している場合は、占有使用ではないため否認されることがあります。「恒常的使用」とは、部屋または住居の一定空間を事業用に常時使用していることを言います。偶発的・臨時的な使用だけの場合は、恒常的使用ではないため否認されます。

② 雇用主の便宜
雇用主の便宜のために、雇用主の要請により納税者の自宅を事業用に使用する必要があります。単に自宅使用が勤務遂行上便利で役立つという理由だけでは、控除は認められません。この条件は従業員だけに必要であり、自営業には適用されません。

控除の対象となる自宅内事務所の経費として、固定資産税や住宅ローン支払利子、水道光熱費、火災保険料、修繕費、減価償却費、維持管理費、賃借料(貸家住まいの場合)などが含まれます。経費合計額を、自宅内事務所の面積が自宅総面積(台所、洗面所、押入れ等を除く)に占める割合で按分配賦した金額が控除額です。(275)

項目別控除(1)

<項目別控除(1)>

項目別控除は、Itemized Deductions の訳語で、個別控除と呼ばれることもあります。個人消費生活に関わる経費のうち、税法上認められているものを項目別に並べて、その合計額を控除する方式です。もう一つの控除方式である概算額控除、または、この項目別控除のうちいずれか有利な方式を毎年選択して申告します。非居住外国人は、概算額控除の選択は認められず、必ず項目別控除を適用しなければなりません。

例えば、持ち家がある納税者は、固定資産税と住宅ローン支払利子の金額だけで、概算額控除の金額を超えるため、項目別控除方式を選択することによって税金を少なく計算できます。控除を多く取ることが節税の一方法であることから、項目別控除は節税と直接つながり、いたって重要です。項目別控除は、スケジュールAに控除項目の金額を記入し、申告書フォーム1040に添付提出します。

医療費、諸税金、支払利子、慈善寄付、災害盗難損失、勤務活動経費、投資関連経費、その他の経費が項目別控除として認められます。(55)

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