双方居住者と外国税額控除
- At October 10, 2018
- By oshimaintl
- In
- 0
米国の永住権保持者が永住権を放棄せずに日本に住んでいる場合、所得税法上、日本の居住者であると同時に米国でも居住者となります。同一人物が二つの国で居住者に該当することを双方居住者(Dual Resident)と呼びます。日米両国とも、居住者は毎年全世界所得を報告して確定申告をする義務があります。日本に帰国後、永住権保持者の収入は日本だけであり、米国では収入がないため連邦税の申告はしなくてもいいと考えるのは正しくありません。
既に一方の国で課税された所得を再び他方の国で申告する際、必ず二重課税が発生するとは限りません。それは税法上、二重課税防止措置が海外在住者に与えられているためです。二重課税防止措置とは、「海外役務所得控除」と「外国税額控除」を指します。「海外役務所得控除」は一律10万4100ドル(2018年)を特別所得控除の形で所得から差し引いて課税免除とする規定です。フォーム2555に必要事項を記入して確定申告書フォーム1040に添付提出します。この控除の金額は、毎年インフレ調整されて増額します。
「外国税額控除」は一方の国で既に課税された所得を他方の国で再度報告することによって生じる税金を税額控除の形で合理的な枠の範囲内で課税免除にする規定です。双方の国の源泉所得に所得税が課せられた場合、それぞれの相手国で外国税額控除を適用することによる減税が可能となります。(690)
日本在住の永住権保持者の税務
- At March 05, 2018
- By oshimaintl
- In
- 0
永住権保持者が永住権を放棄せずに日本に住んでいる場合、日本の居住者として日本で全世界所得に対して税金が課せられると同時に、米国税法上、米国居住者として米国での所得税申告を行う義務があります。その際、同一所得に対して二つの国から徴税されて二重課税を被る可能性が生じます。二重課税の救済措置として定められたのが、「海外役務所得控除」と「外国税額控除」の規定です。海外に居住する米国国籍者に適用される米国規定が、海外に住む永住権保持者にも適用されるのです。
「海外役務所得控除」は、海外で得た給与や自営業事業所得などの役務所得について一定額を非課税所得として扱い、その金額を所得から削除することによって税金を軽減する制度です。一定金額とは、2017年は10万2100ドル、2018年は10万4100ドルであり、2019年以降もインフレ調整により毎年増額予定です。この所得控除の適用を受けるためには、外国の居住権取得後1暦年以上経過していること(居住条件)、あるいは、外国での実際の滞在日数が12カ月のうち330日以上であったこと(実際滞在条件)のいずれかの条件を満たす必要があります。フォーム2555参照。「外国税額控除」は、すでに外国で課税された所得に再度計算される連邦税を税額控除の形で、税額から差し引いて課税免除する方式です。「海外役務所得控除」の枠外に適用される控除です。(662)
海外所得控除と外国税額控除
- At January 23, 2017
- By oshimaintl
- In
- 0
外国(例えば日本)に滞在している米国の永住権保持者・米国市民が、外国で働いて得た給与、報酬などの役務所得は、「海外役務所得控除」の名目で、連邦税法上定められた限度額(2016年10万1300ドル)までの金額を非課税扱いにすることができます。さらに、滞在中に費やした住居費の控除も認められます。
海外での所得が滞在地国で所得税の対象となった場合、海外役務所得控除に加えて、「外国税額控除」の適用についても考慮する必要があります。外国税額控除は、既に一度源泉地国で課税を受けた所得を、再度米国で申告することによって発生する二重課税を回避するための制度です。海外で得た所得の金額が、「海外役務所得控除」の限度額(10万1300ドル)以下である場合、「外国税額控除」は一切認められません。海外所得の金額が限度額を超えている場合、按分計算によって超過所得額に課せられたと想定される外国税が税額控除の対象となります。
例えば、日本での所得(2016年、ドル換算)が30万ドル、日本での所得税が3万ドルと仮定します。米国での申告書上、日本の所得30万ドルのうち、10万1300ドルを海外役務所得控除として取ります。外国税額控除の控除対象額は3万ドルではなく、所得控除適用分を削除した金額になります。(608)
日本在住の永住権保持者の税務
- At February 23, 2015
- By oshimaintl
- In
- 0
米国の永住権保持者が永住権を放棄せずに日本に住んでいる場合、両国の居住者として日本と米国で全世界所得を報告して確定申告を行う義務があります。その際、同一の所得が双方の国で課税を受けて二重課税が生じます。その救済措置として「海外役務所得控除」と「外国税額控除」の規定が設けられています。海外に居住する米国市民のために設けられた米国の税法規定が、永住権保持者にもその適用が認められるのです。
「海外役務所得控除」は、海外で得た給与や自営業事業所得などの役務所得について一定額を非課税所得として扱い、その金額を所得からはずすことによって税金を軽減します。一定金額とは、2014年9万9200ドル、2015年は10万800ドルであり、2016年以降もインフレ調整による増額が予定されています。この所得控除を受けるためには、外国の居住権取得後1暦年以上経過していること(居住条件)、あるいは、外国での実際の滞在日数が12カ月のうち330日以上であったこと(実際滞在条件)のいずれかの条件を満たす必要があります。フォーム2555参照。
「外国税額控除」は、すでに外国で課税された所得に再度計算される連邦税を、税額控除の形で税額から差し引くことによって課税免除の働きをするものです。「海外役務所得控除」の金額を超える所得に対する二重課税の排除に役立ちます。フォーム1116参照。(517)
外国税額控除の州税上の取り扱い
- At November 26, 2014
- By oshimaintl
- In
- 0
所得税は、連邦政府(IRS)だけでなく、州政府や市政府によっても課税されます。グリーンカードや就労可能なビザ保持者は、米国籍保持者と同等の扱いである居住外国人の身分で所得税申告を行い、年間の全世界所得を報告する義務があります。申告所得の中に既に一度海外で課税された所得が含まれていると、「外国税額控除」の仕組みによって国際間の二重課税の回避が達成されます。連邦所得税の計算のための規定である外国税額控除は、ただ一州ノースカロライナ州を除き、州・市所得税の計算上は認められないことが問題です。
各州の規定の中に「他州税額控除」があります。勤務している州が居住している州と異なるため二州と関わりを有する納税者は、通常、勤務州には非居住者の身分で州の給与所得だけを申告し、居住州には居住者の身分で連邦税で報告した金額と同じ年間全所得を申告します。その際、勤務州で支払った税金は、「他州税額控除」の形で居住州の税金から差し引かれて二重課税が回避されます。この州税計算上の他州税額控除は、連邦税の外国税額控除の仕組みに類似してはいるものの、ノースカロライナ州を除き外国税が州税上の控除容認額に含まれていないため、国際間の二重課税の問題解決にはなりません。米国内の州の間の二重課税は解決しますが、国境を越えて支払った外国税に対する救済には役立たないことにご注意ください。(506)
二重課税を回避する外国税額控除、州税上の取り扱い Foreign Tax Credit and State Tax
- At November 25, 2013
- By oshimaintl
- In
- 0
<二重課税を回避する外国税額控除、州税上の取り扱い Foreign Tax Credit and State Tax>
外国から受け取る利子や配当、不動産賃貸所得、給与などの所得について、外国で税金を課せられている場合があります。既に外国で課税を受けた所得を、米国で申告する際に生じる二重課税の問題を解決するために設けられた制度が「外国税額控除」です。
外国税額控除が認められるためには、①外国税が米国の所得税と同等の税金であること、②控除枠を形成する十分な外国源泉所得があること、③税額控除の限度枠の計算書フォーム1116を確定申告書フォーム1040に添付提出すること、を必要とします。外国所得税の金額が300ドル以下(夫婦合算申告は600ドル以下)で、かつ外国所得税の種類が利子、配当などの投資所得だけの場合は、控除限度枠の計算書フォーム1116を添付することなく外国税額控除が認められます。控除限度枠を超えたため税額控除が認めらなかった外国税は、他の年度に繰り延べられます。繰延年度は、繰り戻し1年、繰り越し10年です。
所得税の申告は、連邦政府(IRS)だけでなく州政府に対しても行う必要があります。納税者が居住している州では、IRSに届けた所得と同一の全世界所得を報告する義務があります。ところが、州税の計算上、一部の例外を除いて外国税額控除は認められません。すなわち、ペンシルバニア、アリゾナ、ルイジアナの3州には二重課税を回避する外国税額控除の制度があります。(454)
外国税額控除 Foreign Tax Credit
- At November 25, 2013
- By oshimaintl
- In
- 0
<外国税額控除 Foreign Tax Credit>
源泉地国で一度課税を受けた所得を、米国で課税対象の所得として報告することによって生じる二重課税の問題を解決するために設けられた制度が「外国税額控除」の規定です。外国所得税の支払いがあった場合、納税者は選択により項目別控除または外国税額控除のいずれか有利な方式を適用することができます。項目別控除は課税所得の算出過程で調整総所得から差し引く費用の控除であり、外国税額控除は計算された税額から直接差し引く税金の控除です。控除方式は年度ごとに選択できます。同一年度に2つの控除方式の混同適用は認められないため、一部の外国所得税には項目別控除を、他の外国所得税には外国税額控除を適用することはできません。
外国税額控除が認められるためには、①外国税は米国の所得税と同等の税金であること、②控除枠を形成する十分な外国源泉所得があること、③税額控除の限度枠の計算書フォーム1116を確定申告書フォーム1040に添付提出すること、を必要とします。外国所得税の金額が300ドル以下(夫婦合算申告は600ドル以下)で、かつ外国所得税の種類が利子、配当などの投資所得だけの場合、控除限度枠の計算書フォーム1116を添付することなく外国税額控除が認められます。控除限度枠を超えたため否認されて税額控除が認められず未使用となった外国税は、他の年度に繰り延べられます。繰延年度は、繰り戻し1年、繰越し10年です。(380)
海外役務所得控除(日本在住の永住権保持者の税務) Foreign Earned Income Exclusion
- At November 25, 2013
- By oshimaintl
- In
- 0
<海外役務所得控除(日本在住の永住権保持者の税務) Foreign Earned Income Exclusion>
永住権保持者が永住権を放棄せずに日本に住んでいる場合、日本の居住者として日本で全世界所得に対して税金が課せられると同時に、米国税法上、米国居住者として米国での所得税申告を行う義務があります。その際、同一所得に対して二つの国から徴税されて二重課税を被る可能性が生じます。二重課税の救済措置として定められたのが、「海外役務所得控除」と「外国税額控除」の規定です。米国市民で海外在住者に適用される米国規定が、海外に住む永住権保持者にも適用されるのです。
「海外役務所得控除」は、海外で得た給与や自営業事業所得などの役務所得について一定額を非課税所得として扱い、その金額を所得から削除することにより税金を軽減します。一定金額とは、2013年は9万7600ドル、2014年は9万9200ドルであり、2015年以降もインフレ調整により増額予定です。この所得控除の適用を受けるためには、外国の居住権取得後1暦年以上経過していること(居住条件)、あるいは、外国での実際の滞在日数が12カ月のうち330日以上であったこと(実際滞在条件)のいずれかの条件を満たす必要があります。フォーム2555参照。
「外国税額控除」は、すでに外国で課税された所得に再度計算される連邦税を税額控除の形で、税額から差し引いて課税免除する方式です。「海外役務所得控除」の枠外に適用される控除です。Form 2555, Form1116参照。(378)
海外所得・外税控除
- At November 20, 2013
- By oshimaintl
- In
- 0