新社会人の扶養控除
- At February 09, 2015
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子が大学を卒業し、社会人として働き始めて経済的自立を果たすと、多くの場合、親はその子の扶養控除を取れなくなります。
親の申告書上、子の扶養控除が認められるためには、以下の諸条件を同時に満たす必要があります。
(1) 扶養条件――親が子の年間生活維持費の50%以上を供給していること。
(2) 総所得条件――23歳超の子の場合、年間総所得が扶養控除額(2015年4000ドル)未満でなければならない。
(3) 親族・世帯員条件――3親等以内の血縁関係または姻戚関係の親族であること。
(4) 市民・居住者条件――子は米国市民または米国居住者であること。
(5) 合算申告条件――子が既婚の場合、その子が配偶者と夫婦合算申告(ジョイント・リターン)で申告していないこと。
大学を卒業した年度に就職して社会人となった子が12月31日現在24歳に達していて、年収が4000ドル(2015年)を超えている場合、親は子の扶養控除を取れません。23歳以下の子がフルタイムの学生でそれほど給与が高くなく、まだ親の援助を受けているのであれば、親の申告書上、扶養控除の申告ができます。その際、子は自分の申告書上、所得から自分の人的控除(基礎控除)を取ることはできません。フルタイムの学生の定義は、年間のうち足掛け5ヵ月以上学生の身分であることです。(515)
従業員と独立請負人の違い
- At February 02, 2015
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Employee (従業員)とIndependent Contractor(独立請負人)は、源泉徴収および給与関係税の取り扱いが異なります。従業員は、支給される給与から所得税や社会保障税が源泉徴収されます。そして雇用主が社会保障税や雇用保険料(給与関係税)を負担し、フォームW-2(源泉徴収票)の発行を受けます。一方、独立請負人(契約社員)が受け取る報酬は源泉徴収の対象とならず、雇用主による給与関係税の負担がなく、フォーム1099-MISCの発行を受けます。従業員と独立請負人は、被用者と雇用主との関係によって判断されるのであって、自由に選択できるわけではありません。雇用主にとっては、源泉徴収や給与関係税の負担のない独立請負人の方が経費節減となるため、可能な限り被用者を独立請負人とする傾向があります。この点に着目したIRSは、法人税の税務調査の際、独立請負人に対する報酬の支払いについて調べ、否認調整を行い追徴税や延滞税の要求をすることがあります。
会社が勤務時間や雇用の場所を指定し、業務遂行の順序や方法を指示し、使用する道具や機材を提供し、特定の作業方法についての研修を施すなど、行動に関して会社が被用者を拘束し管理下に置いている場合は従業員と判断されます。一方、独自の業務手順や方法で仕事をする場合や自由裁量に委ねられている場合は、独立請負人と見なされます。独立請負人は、業務遂行上の必要経費の支出が自由であり、業務遂行のための機材や道具、施設を投資所有しています。業務提供を複数の関与先にも行うことができます。雇用保険、退職年金、福利厚生制度の有無も判断基準となります。(514)
標準マイレージ・レート Standard Mileage Rate
- At January 26, 2015
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自分の車を会社の仕事または自営業の事業に使った場合、個人所得税の計算上、車の費用の控除が認められます。控除は「標準マイレージ・レート」または「実額法」のいずれかの控除方法を適用して計算します。会社から車の費用の精算を受ける場合も、標準マイレージ・レートか実額法が使われます。
標準マイレージ・レートは、車の事業用の走行マイルに標準レートを掛け合わせた金額を控除する簡便法です。この方法を適用すると、ガソリン代、保険料、減価償却費など、車の維持に要した実費の記録を保存しておく必要がありません。初年度に標準マイレージ・レートを選択すると、後に続く年度も同方法を継続適用できます。実額法を選択した場合は、後の年度に標準マイレージ・レートに変更することは認められません。
2015年の1マイル毎の標準マイレージ・レート(カッコ内は2014年のレート)は次の通りです。
ビジネス目的 57.5セント (56セント)
医療・転勤目的 23セント (23.5セント)
慈善目的 14セント (14セント)
実額法は、車のガソリン代、オイル代、保険料、修繕費、登録料、維持費、減価償却費など、実際に事業に使った金額を控除する方法です。車を事業だけに使用している場合は、全額控除の対象となりますが、一部を私用に使っている場合は、事業用マイル数が年間合計走行マイル数に占める割合で按分計算した金額が控除の対象となります。(513)
概算額控除(Standard Deduction)
- At January 19, 2015
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納税者は概算額控除(Standard Deduction)と項目別控除(Itemized Deduction)の2種類の控除方式から、いずれか有利な控除方式を毎年選択することができます。標準控除、定額控除と訳されることもある概算額控除は、具体的に経費項目を挙げずに所得から一定概算額の控除を差し引くという簡易方式です。項目別控除は個人消費生活にかかわる経費のうち、税法上認められるものを項目別に並べて、その合計額を控除するという方式です。
概算額控除の金額は、毎年インフレ調整が施され、独身、既婚者などの区分によって異なります。概算額控除の2014年の金額は次の通りです。カッコ内は2015年の金額です。
独身 6200ドル(6300ドル)
夫婦合算申告 12400ドル(12600ドル)
夫婦個別申告 6200ドル(6300ドル)
特定世帯主 9100ドル(9250ドル)
65歳以上の高齢者は、独身1550ドル(1550ドル)、既婚者1200ドル(1250ドル) の追加控除が認められます。
証拠書類がなくても認められて、いたって便利な概算額控除方式を選択できるのは、米国市民または一年中米国に滞在していた居住外国人に限ります。非居住外国人の場合は、概算額控除の採用は認められず、必ず項目別控除を適用しなければなりません。(512)
違法滞在者の所得税
- At November 26, 2014
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入国後滞在期限を超えて違法滞在している外国人が働いて得る所得、すなわち違法就労所得の課税について検討します。
税法上、合法就労所得と違法就労所得には区別は付けられておらず、IRSはすべての所得を報告して税金を納めることを奨励しています。所得が雇用主の簿外取引の支払いであるためフォームW-2やフォーム1099などの調書が発行されなくても、調書が発行されたならば記載される金額を申告書に報告する義務があります。合法時に取得したソーシャルセキュリティー番号があれば、その番号を使います。番号を持っていない場合は、個人納税者番号(ITIN)を申請取得して使います。その場合は、社会保障制度への加入は許されず、ソーシャルセキュリティー税とメディケア税の支払いをする必要はありません。
違法就労者は、税務申告書上の報告内容が手がかりとなって移民局による手入れにつながるのではないかとの懸念を持つでしょう。しかし、連邦税法上、納税者が税務申告書で報告した情報を、刑法犯罪に関与している場合を除いて、国土安全保障省(移民局)を含む政府の他機関へIRSが提供することは禁じられています(内国歳入法7213条)。従って税務申告書から違法滞在者が摘発されたり強制送還されたりすることはありません。IRSにとっては、すべての所得にかかる税金を徴収することの方が重要課題だからです。(508)
税金諸係数のインフレ調整―2015年 Inflation Adjustment
- At November 26, 2014
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税金を計算する際に必要とする各種控除の基準額や限度額の2015年の金額がIRSによって発表されました。カッコ内は2014年の金額。
概算額控除――具体的な経費項目を挙げずに認められる一定概算額による簡便方式の控除。
独身 $6,300 ($6,200)
夫婦合算申告 $12,600 ($12,400)
夫婦個別申告 $6,300 ($6,200)
特定世帯主 $9,250 ($9,100)
人的控除・扶養控除――納税者本人、配偶者、扶養家族各人に認められる一定金額の控除。
一人分の控除 $4,000 ($3,950)
永住権放棄者の税務――永住権放棄によって該当出国者とみなされた場合に課せられる出国税。
過去5年間の平均確定税額 $160,000 ($157,000)
時価評価課税の基礎控除額 $690,000 ($680,000)
海外役務所得控除――海外在住の米国市民・永住権保持者に認められる給与等所得の控除。
年間非課税枠 $100,800 ($99,200)
非課税贈与額――1年間に認められる無税贈与額。
一般無税贈与額 $14,000 ($14,000)
外国籍配偶者贈与額 $145,000 ($143,000)
生涯非課税贈与額 $5,430,000 ($5,340,000)
ソーシャルセキュリティー税――課税対象上限給与額。
課税対象上限給与額 $118,500 ($117,000) (504)
特定世帯主(Head of Household) 母子家庭の税金
- At November 26, 2014
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母子家庭・父子家庭のように独身で扶養家族を養っている場合、独身用の税率表のかわりに特定世帯主(Head of Household)の税率表を使って申告すると、所得税が低く計算されて有利となります。例えば、課税所得を5万ドルと仮定して2014年の連邦所得税を計算すると、独身では8356ドルになるのに対して、特定世帯主では6913ドルと計算され、1443 ドルの節税となります。課税所得が高額になればなるほど、その差は大きくなります。
特定世帯主の申告資格を適用するための条件は、扶養家族の年間生活維持費の50%以上を納税者が負担して養っていること、1年のうち半年以上納税者と同居していることです。学業や病気療養を原因とする不在は、別居とは見なされません。子供を連れて離婚した場合や配偶者の死後子供を抱えて再婚していない場合、未婚の母または父の場合などが特定世帯主に該当します。特定世帯主のための扶養家族とは、子供だけではなく、親、兄弟姉妹、甥姪なども含みます。親を扶養している場合、同居の必要はなく別の場所に住んでいてもかまいません。扶養家族は、米国国籍保持者あるいは米国居住者でなければなりません。
概算額控除(Standard Deduction)の金額(2014年)についても、独身6200ドルに対して特定世帯主9100ドルと、より有利な金額が設定されています。(503)
死亡と税金
- At November 26, 2014
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永住権を保持する日本国籍の夫が亡くなった場合の税金関係について検討します。死亡というとすぐに思いつくのが相続税・遺産税ですが、その前になすべきこととして所得税の申告があります。生前、毎年提出してきた連邦と州の所得税の最後の年度の申告書の提出です。死亡年度は、夫婦合算申告(ジョイントリターン)の税率を適用して所得税の計算をすることが認められます。ただし生存配偶者が年末時点で再婚していないことが条件です。報告する所得は死亡配偶者分は1月1日から死亡日までの間の所得です。生存配偶者分は、1月1日から12月31日までの年間全所得です。申告書の上方の空白に、“Deceasedおよび、死亡者氏名と死亡日” を書き込みます。申告書には生存配偶者が署名をして、死亡配偶者の署名欄に“filing as surviving spouse”(生存配偶者による申告)と記入すると、一人分の署名だけで提出できます。あるいは死亡配偶者に代わって遺産管理人・執行人が署名することもできます。
死亡後に死亡者の財産に加算される利子、配当、レントなどの収益は、個人所得税の対象とならず、遺産所得税申告書(Income Tax Return for Estates)フォーム1041で申告して納税します。税率は個人所得税と同じ累進税率です。遺産所得税申告書は、遺産が分配される年度まで毎年提出します。遺された遺産の種類、所在国、金額によって、連邦遺産税、州遺産税・相続税、日本の相続税の申告を必要とします。(502)
離婚と税金
- At November 26, 2014
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結婚していた二人が法律に基づいて正式に離婚し、その結果、一方が元配偶者に支払う慰謝料や離婚扶助料(Alimony)、子女養育費(Child support)などに関わる税金について検討します。
米国では、裁判所の命令、または、成分契約に基づく離婚扶助料の定期的な支払いは、支払人の申告書上控除が認められ、逆に受取人にとっては課税対象所得として扱われます。支払いの目的が離婚扶助料ではなく、子女の養育費になると、支払人には控除が認められず、受取人にとっては非課税扱いとなります。離婚に伴う不動産や現金、その他の財産の一括分与は双方にとって非課税移転であり、所得税や贈与税の申告対象外となります。日本では、離婚扶助料や子女養育費、財産一括分与などは税金上の支払い・受取りとして扱われず、受取人の所得・支払人の控除にはなりません。
所得税の税率を決定する申告資格は、既婚者用のものではなく、独身(Single)を適用します。扶養家族を抱えている場合は、独身ではなく特定世帯主(Head of Household)を適用します。子供の扶養控除は(2014年3950ドル)、通常50%以上の生活維持を負担している納税者に認められますが、離婚者の場合には事実上の生活維持や親権の有無にかかわらず特別なルールが適用されて、いずれか一方の親に控除が認められます。(501)
標準マイレージ・レート Standard Mileage Rate
- At August 11, 2014
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自分の車を会社の仕事または自営業の事業に使った場合、個人所得税の計算上、車の費用の控除が認められます。控除は「標準マイレージ・レート」または「実額法」のいずれかの控除方法を適用して計算します。会社から車の費用の精算を受ける場合も、標準マイレージ・レートか実額法が使われます。
標準マイレージ・レートは、車の事業用の走行マイルに標準レートを掛け合わせた金額を控除する簡便法です。この方法を適用すると、ガソリン代、保険料、減価償却費など、車の維持に要した実費の記録を保存しておく必要がありません。初年度に標準マイレージ・レートを選択すると、後に続く年度も同方法を継続適用できます。実額法を選択した場合は、後の年度に標準マイレージ・レートに変更することは認められません。
2014年の1マイル毎の標準マイレージ・レート(カッコ内は2013年のレート)は次の通りです。
ビジネス目的 56セント(56.5セント)
医療・転勤目的 23.5セント(24セント)
慈善目的 14セント(14セント)
実額法は、車のガソリン代、オイル代、保険料、修繕費、登録料、維持費、減価償却費など、実際に事業に使った金額を控除する方法です。車を事業だけに使用している場合は、全額控除の対象となりますが、一部を私用に使っている場合は、事業用マイル数が年間合計走行マイル数に占める割合で按分計算した金額が控除の対象となります。(474)