日本の相続税44-相続 寄付財産
- At December 14, 2013
- By oshimaintl
- In
0
<日本の相続(44)-寄付財産>
寄付財産とは、相続や遺贈で入手したもののうち、相続人が国や地方公共団体、日本育英会、日本赤十字社などの特定公益法人に、申告期限までに寄付した財産のことです。このような寄付は、科学や教育の振興や社会福祉の向上に役立つことが考慮され、非課税扱いとなります。また、これらの寄付は、故人の遺志によるものがほとんどであり、そのことも非課税の理由に挙げられます。
非課税扱いの寄付財産と認められるための条件は次の通りです。
① 相続開始から申告期限までに寄付すること。
② 相続または遺贈で受けた財産そのものを寄付すること。
③ 既に存在する特定の公益法人への寄付であること。
④ 寄付を受けた側は、寄付を受けた日から2年以内に、その財産を公益事業に使うこと。
⑤ その寄付によって、寄付した人や親族の税金が不当に安くならないこと。(149)
以上の条件を満たし、相続税の申告時に、非課税の適用を受ける手続きをすることが必要です。相続税申告書に、寄付財産の非課税適用を受ける旨を記載し、寄付財産の明細書を添付し、国や地方公共団体、特定公益法人などの寄付した相手からの証明書を添付することです。適格な手続を行わないと非課税の適用は受けられません。
日本の相続税43-相続 非課税財産
- At December 14, 2013
- By oshimaintl
- In
0
<日本の相続(43)-非課税財産>
相続や遺贈によって引き継いだ財産で金銭に換算できるものは、すべて相続税の課税対象になるというのはあくまでも原則で、財産の性質や社会政策的な見地から、課税対象にならない財産があります。
非課税の対象となる財産は、次の通りです。
① 墓地、仏壇・仏具、神棚・神具などの祭祀(さいし)財産。祖先崇拝の精神を尊重し、金銭的な価値を超越した個人的な感情や価値観が含まれていて金銭的に換算できないため。
② 公益事業を行う人が取得した財産で、その目的に使うことが確実な財産。公益事業の保護育成のため。宗教、学術などの公益を目的とする事業を行う人が相続・遺贈により取得した財産を、取得日から2年以内に使用すること。
③ 相続財産を国などに寄付した場合の財産。科学・教育の振興や社会福祉の向上のため。
④ 心身障害者共済制度に基づく給付金。心身障害者の扶養を重視するため。
⑤ 相続人が受け取った生命保険金などの一定金額。相続人の生活保護のため。
⑥ 相続人が受け取った死亡退職金などの一定金額。相続人の生活保護のため。
⑦ 相続財産である金銭を特定公益信託に支出した場合の金銭。公益性の重視のため。(148)
日本の相続税42-相続 生前贈与加算
- At December 14, 2013
- By oshimaintl
- In
0
<日本の相続(42)-生前贈与加算>
相続開始前3年以内の贈与は、相続財産と見なされて相続税がかかります。この3年内生前贈与加算規定の根拠には、被相続人が自分の死後発生する相続税の軽減を意図して生きているうちに財産移転をしたと想定して、贈与財産に相続税を課すということがあります。生前贈与加算規定が適用されるのは、本来の相続や遺贈によって相続財産を受け取る人に限られます。法定相続人以外の相続財産を何も引き継がない人が、どんなに多くの生前贈与を受けていたとしても、税金の再計算の必要はありません。
課税相続財産に加算される生前贈与の金額は、相続時の価格ではなく、贈与時の価格です。例えば、贈与時に評価額が1000万円であった土地が、相続時に1500万円に値上がりしていたとします。相続財産に加算されるのは贈与時の評価額1000万円です。贈与税の基礎控除(110万円)以内であるなどの理由で、贈与税が課税されなかった生前贈与も加算されます。
3年内生前贈与が相続財産に加算されて相続税が再計算されても、既に支払った贈与税は相続税から控除されるため、同一財産に贈与税と相続税が二重に課されることはありません。(147)
日本の相続税41-相続 死亡退職金
- At December 14, 2013
- By oshimaintl
- In
0
<日本の相続(41)-死亡退職金>
相続人が取得する死亡退職金で、被相続人の死亡後3年以内に確定したものは、生命保険金と同様、相続財産とみなされて相続税が課されます。死亡後3年経過後に支給が確定した死亡退職金は、相続財産とならず遺族の一時所得として所得税と住民税の対象となります。
死亡退職金は、法定相続人一人について500万円が非課税額として認められます。相続放棄をした法定相続人がいる場合は、その分も頭数に加えて非課税額を計算します。例えば、配偶者と子供2人が遺された場合、法定相続人は3人ですから1500万円までの死亡退職金は非課税となります。仮に子供のうち1人が相続放棄していたとしても、非課税額は1500万円のままです。受け取った死亡退職金の金額が非課税額を超えた場合は、それぞれの相続人が受け取った金額に応じて各人の非課税額が決められます。
相続人が相続または遺贈によって死亡退職金を取得した場合は非課税額が適用されますが、相続人以外の人が遺贈として受け取る死亡退職金には非課税額は認められません。法定相続人の中に被相続人の養子がいる場合、養子の数が制限されます。(146)
日本の相続税40-相続 生命保険の非課税額
- At December 14, 2013
- By oshimaintl
- In
0
<日本の相続(40)-生命保険の非課税額>
生命保険の死亡給付金のうち一定金額は非課税となります。残された家族の大切な生活保障に対して相続税を課すのは酷であるとの見地から設けられた制度です。非課税となる生命保険金の金額は、法定相続人一人について500万円です。相続放棄をした法定相続人がいる場合は、その分も頭数に加えて非課税額を計算します。例えば、配偶者と子供2人が遺された場合、法定相続人は3人ですから1500万円までの生命保険金は非課税となります。仮に子供のうち1人が相続放棄していたとしても、非課税額は1500万円のままです。
相続人が相続または遺贈によって生命保険金を取得した場合は非課税額が適用されますが、相続人以外の人が遺贈として受け取る生命保険金には非課税額は認められません。
受け取った生命保険金の金額が非課税額を超えた場合は、それぞれの相続人が受け取った金額に応じて各人の非課税金額が決められます。相続人の中に実子と養子がいると養子は1人まで認められ、実子がいなければ養子は2人まで認められるという具合に、非課税額の計算上、養子の数に制限が加えられます。(145)
日本の相続税39-相続 外国の生命保険
- At December 14, 2013
- By oshimaintl
- In
0
<日本の相続(39)-外国の生命保険>
日本の免許を受けていない外国生命保険会社と締結した生命保険契約は、日本で免許を受けた生命保険契約と課税の取り扱いが異なります。免許を受けた保険契約の場合、被保険者、保険料負担者、保険金受取人が誰であるかによって、適用される税金の種類が、相続税、一時所得に対する所得税、あるいは贈与税のいずれかになります。免許を受けていない外国生命保険会社と締結した生命保険契約の場合、生命保険金は受取人の一時所得として所得税の課税を受けますが、相続税法上の生命保険としての取り扱いを受けず、相続税の対象外となります。(所得税法34①、所得税基本通達34-1(4))。
受取人が日本の居住者である場合、外国生命保険の死亡給付金は受取人の「一時所得」となり、所得税と住民税が課されます。一時所得は50%部分だけが課税対象になるため、所得税の実効税率は25%以下となります。
受取人が海外在住者(たとえば米国に居住する永住権保持者)であり、日本の非居住者である場合は、日本国外の保険会社から支払われる生命保険金は、外国源泉所得であるため日本の所得税および住民税の課税対象外となります。
(144)
日本の相続税38-相続 日本の生命保険
- At December 14, 2013
- By oshimaintl
- In
0
<日本の相続(38)-日本の生命保険>
生命保険の契約が日本の保険業の免許を受けた日本国内外の生命保険会社と締結したものであるか、免許を受けていない外国生命保険会社と締結したものであるかによって、死亡給付金に対する課税の取り扱いが異なります。
免許を受けた生命保険は、被保険者、保険料負担者、保険金受取人が誰であるかによって、適用される税金の種類が変わってきます。死亡した被相続人(夫)が被保険者として保険料を負担し、保険金受取人でもある場合、生命保険金は相続財産であるため相続税が課されます。被相続人(夫)が被保険者かつ保険料負担者であり、被相続人以外の者(妻または子)が保険金受取人である場合は、みなし相続財産として扱われ、やはり相続税の対象になります。
被相続人(夫)が被保険者であり、被保険者とは異なる保険料負担者(妻)と保険金受取人(子)がいる場合は、妻から子への財産(死亡給付金)の贈与と見なされ、子に対して贈与税が課税されます。
被相続人(夫)が被保険者であり、保険料負担者(妻)が保険金受取人でもある場合は、保険会社から支払われる生命保険金は、一時所得として実効税率25%の所得税の対象となります。(143)
日本の相続税37-相続 見なし相続財産
- At December 14, 2013
- By oshimaintl
- In
0
<日本の相続(37)-見なし相続財産>
法律上は相続に当たらないものの、実質的には相続によって受け取ったものに等しいと考えられる「見なし相続財産」にも相続税が課税されます。例えば生命保険金は、故人の財産からではなく保険会社から支払われます。死亡を直接の原因として相続人の財産が増えたという点では、相続によって財産を取得したことと実質的には変わりありません。このように実質的に見て経済的効果が相続財産と同じものは、相続による財産と同じに見なされます。相続人以外の人が見なし財産を受け取った場合は、遺贈されたのと同等ということになり、相続税が課されます。
保険料を負担してきた被相続人の死亡によって支払われた生命保険金、故人が受け取るべきであった手当金で死亡後に遺族に支払われる死亡退職金、支給を受けていた被相続人の死亡後遺族に継続支給される退職年金が見なし相続財産の例です。
相続開始前3年以内に、相続人が受け取った贈与も見なし相続財産とされ、相続税が課されます。贈与を受けた際に既に支払った贈与税は、相続税から控除されて二重課税が排除されます。(142)
日本の相続税36-相続 相続財産
- At December 14, 2013
- By oshimaintl
- In
0
<日本の相続(36)-相続財産>
遺産の金額や相続税額を算出するためには、課税対象になる相続財産として何があるか、そしてそれぞれの財産の価格がいくらかを把握しなければなりません。現金・預貯金、土地・建物などの不動産、株券・債券などの有価証券、書画・骨董品、貴金属・宝石類、家具、車などの家庭用財産のほか、貸付金・借地権など債権、ゴルフ会員権・著作権・特許権などの無体財産も相続財産に含まれます。財産とは、金銭に換算していくらになるか見積もることができるすべてのものを指します。金銭に換算できない故人に寄せられた信用、経営者としての地位、職業上の専門知識や技能などは、相続財産として見なされず、相続税は課されません。
日本の居住者が遺産を相続する場合、日本国内にある故人の財産は勿論のこと、海外(米国)にある財産も相続財産に含めて申告する義務があります。米ドルから日本円へ換算する際、被相続人の死亡日の換算レートを使用します。米国でも遺産税が課された場合、二重課税排除の仕組みである外国税額控除が適用されて、日本の相続税と相殺されます。(141)
日本の相続税35-相続 裁判所の分割調停・審判
- At December 14, 2013
- By oshimaintl
- In
0
<日本の相続(35)-裁判所の分割調停・審判>
相続人の間で協議を重ねても財産分割の決着がつかないときは、家庭裁判所に調停を申し立てます。裁判所は調停の日を決めて当事者全員を呼び出し、調停委員2名と裁判官からなる調停委員会を仲立ちにして、まず当事者各人の主張や解決策を個別に聞きます。それを他の当事者に伝えると同時に代替案を聞き、それぞれの意見の食い違いを調整していきます。最後に調停委員会から調停案が出されますが、強制する権限はなく、その調停案に当事者全員の意見が一致すれば調停調書にまとめられて、調停は終了します。一致しない場合は、さらに審判へ持ち込まれます。
審判は強制的に遺産の分け方を決定する手続で、家事審判官と呼ばれる裁判官がみずから証拠調べをして、それによって把握した事実にもとづいて、具体的な財産の分配方法を決めます。この審判にも不服の場合、相続人は高等裁判所へ異議申し立てをすることができます。
協議や調停で財産の分割が成立すると、相続開始時にさかのぼってその効力が生じ、それぞれの遺産は各相続人の所有物として確定します。遺産分割のやり直しは、所有権の移転、すなわち贈与の発生となります。(140)