日本の相続税54-相次相続控除
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<日本の相続税(54)-相次相続控除>
家族が相次いで死亡した場合、既に課税された相続財産が再び遺産に含まれて税金が二重にかかるため、相続税の負担はきわめて重くなります。そこで、一定の短い期間の間に相続が続いた場合に、加重負担を軽減する趣旨で設けられたのが、相次相続控除と呼ばれる税の軽減措置です。
相次相続控除は、10年間に2回以上相続があった場合に適用することができます。過去10年以内の相続で財産を取得したことがある人が亡くなった場合、前回の相続のときに納めた税金の一定割合を各相続人に配分し、今回の相続税額から差し引く制度です。前回負担した相続税額を前回と今回の財産の割合で調整し、経過年数1年につき10%ずつ減額した金額を控除します。経過年数が短ければ短いほど、控除額は多くなります。
相続を放棄した者および相続権を失った者については、たとえその者が遺贈によって取得した財産がある場合であっても、この規定の適用はありません。控除の対象となる相続税額には、利子税、延滞税、過少申告加算税、無申告加算税および重加算税に相当する税額は含まれません。(159)
日本の相続税53-障害者控除
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<日本の相続税(52)-障害者控除>
障害者控除は、相続人が身体に障害を持っている場合に適用される福祉政策上の税金軽減措置です。相続や遺贈によって財産を取得した人が法定相続人で、心身に障害のある場合には、健常者より余分に生活費を必要とする事情を考慮し、身障者の税額から一定金額の控除が認められます。
相続や遺贈によって財産を取得した人が障害者控除を受けるためには、次の要件を同時に満たす必要があります。
① 一般障害者、または特別障害者に該当する。
② 法定相続人に該当する。
③ 日本国内に居住している。
障害者とは、心神喪失の状況にある者、失明者そのほか精神または身体に障害のある者をいい、障害の程度によって、一般障害者と特別障害者とに区別されます。
控除金額は、70歳に達するまでの年数1年につき一般障害者6万円、特別障害者は12万円で計算した金額です。1年未満の端数は切り上げて1年とします。控除額が障害者本人の相続税額を越える場合は、扶養義務者など他の相続人の相続税額から控除できます。(158)
日本の相続税52-未成年者税額控除
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<日本の相続税(52)-未成年者税額控除>
未成年税額控除は、相続人が未成年者である場合に適用される福祉政策上の税金軽減措置です。親が亡くなったときに子がまだ成年に達していない場合は、成年に達するまでの教育費や養育費が遺産の中から支出されるとすれば、取得財産にかかる相続税額の軽減が施されるべきであるとの考え方が背景にあります。
相続や遺贈で財産を取得した者が未成年者控除を受けるためには、次の要件を同時に満たす必要があります。
① 相続時に20歳未満である。
② 法定相続人に該当する。
③ 日本国内に居住している。
すなわち、日本国内に居住する未成年の法定相続人に限ります。子が死亡したため代襲相続人となった未成年の孫には適用となりますが、遺贈を受けた相続権のない未成年の孫は除きます。
控除額は、20歳に達するまでの年数1年につき6万円で算出します。1年未満の端数は切り上げて1年として計算に含めます。控除額が未成年者本人の相続税額を超える場合、つまり控除しきれないときは、超過分は親や兄弟など扶養義務者である他の相続人の相続税額から控除することができます。(157)
日本の相続税51-贈与税額控除
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<日本の相続税(51)-贈与税額控除>
贈与税額控除は、相続財産の課税価格に生前贈与が加算された者に適用される税負担軽減措置です。
相続税の課税価格の計算では、相続開始前3年以内に被相続人(故人)から財産の贈与を受けていた場合、その贈与財産の価格は、見なし相続財産として相続税の課税価格に加算しなければなりません(生前贈与加算規定)。
贈与時点で既に贈与税が課税されているため、生前贈与加算規定に従って生前贈与分を相続税の対象に入れて相続税を計算すると、同一財産に対して贈与税と相続税の二つの税金が重複課税されることになります。この二重課税を回避する方法として認められるのが、贈与税額控除による税負担調整です。
贈与税額控除として相続税額から控除される金額は、生前贈与があった年度分の贈与税のうち、相続税の課税価格に加算された贈与財産の価格に対応する税額です。相続間際に多額の贈与があったため、贈与税が相続税の算出税額よりも多額の場合、税額控除として認められるのは相続税の金額までであり、超過税額が還付されるということはありません。(156)
日本の相続税50-配偶者控除
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<日本の相続税(50)-配偶者控除>
配偶者が取得する相続財産が、法定相続分相当額あるいは1億6000万円のいずれか多い方の金額の範囲内である場合は、配偶者控除の作用により相続税は課されません。配偶者が優遇されて税額が軽減される根拠として、財産形成の協力者として内助の功を評価すること、配偶者の老後の生活を保障すること、そして夫婦間の財産移転に対する課税を控え相続税の本来の目的である次世代相続への課税に重きを置くことが挙げられます。
例えば、遺産総額が6億円とすると、配偶者の相続税がゼロとなる相続財産の額は次の通りです。
相続人が妻と子の場合・・・3億万円(法定相続分の2分の1)まで
相続人が妻と親の場合・・・4億円(法定相続分の3分2)まで
相続人が妻と兄弟姉妹の場合・・・4億5000万円(法定相続分の4分3)まで
また、妻と子が相続人で、遺産総額が2億円の場合、妻が法定相続分を超える1億6000万円を相続しても、やはり相続税はゼロとなります。
婚姻届が出されている正式な配偶者であれば、たとえ結婚直後に相続が発生しても、民法上の相続権があり、申告期限までに遺産分割が確定していれば配偶者控除の特例を受けられます。(155)
日本の相続税49-相続税額2割加算制度
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<日本の相続税(49)-税額2割加算制度>
相続人のうち特定の人は、相続税額に2割(20%)を加算して納付しなければなりません。特定の人とは、被相続人(故人)から相続や遺贈で財産を引き継いだ人で、次に挙げる人以外の人のことです。
① 配偶者。
② 親や子供などの一親等の血族。
③ 代襲相続人となる孫。
配偶者、一親等血族など、優先順位が高い人たちには税額2割加算制度は適用されません。祖父母、兄弟姉妹、代襲相続人でない孫など、優先順位が下位の人たちが引き継ぐ相続に、税額の2割が加算されます。優先順位が低く相続の可能性が少ない人と、可能性が高い人の税負担が同等では公正に欠けるとの見地から設けられた措置です。孫への遺贈に係る2割加算は、隔世代財産移転に対する追加課税を意味します。
相続人以外の人が故人から遺産を受け取った時にも税額2割加算制度が適用されます。例えば、代襲相続人でない孫に遺贈した場合、孫の税額に2割が加算されます。養子は、通常2割加算の対象外ですが、被相続人の孫が養子となっている場合は、その養子は2割加算の対象とされます。(154)
日本の相続税48-相続税の計算順序
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<日本の相続(48)-相続税の計算順序>
相続税額の計算ステップは以下の通りです。
① 相続財産を金銭に換算する。
② ①から債務や葬儀費用など非課税財産に当たるものを差し引き、見なし財産があればそれを加算する。
③ ②から基礎控除を差し引く。 → 課税の対象となる遺産額(課税遺産額)。
④ ③を法定相続分で分けて、各人の相続税を算出する。
⑤ ④を合計する。 → 相続税の総額。
⑥ 各人が実際に引き継ぐ相続財産の割合で⑤(相続税の総額)を分配する。
⑦ ⑥から各人に適応する控除額を差し引く。 → 各人の納付する相続税額。
相続税の総額を計算する①から⑤までのステップと、各人が支払う相続税額を計算する⑥と⑦のステップの二段階の計算で成り立っています。第一段階で、実際に相続したかどうかは無視して法定相続人分の相続税を計算し、第二段階で各人が実際に受け取った相続財産の金額割合をもとに、それぞれの納税額を算出する手順になっています。それは、故人の遺産全体を課税対象とする考え方と、それぞれの相続人ごとに引き継いだ財産の割合に応じた納税額はいくらかという考え方に基づいているためです。(153)
日本の相続税47-相続 葬儀費用控除
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<日本の相続(47)-葬儀費用控除>
相続税の計算過程で相続財産から差し引くことが認められる「債務控除」には、被相続人が残した借金などの債務のほかに、被相続人の葬儀費用が含まれます。以下の費用が控除できます。
- 葬式や葬送、埋葬、火葬、納骨、遺骨の回送費用、その他に要した費用。
- 葬式の際に要した金品の費用で、故人の職業、社会的地位、財産にふさわしいと認められるもの。
- 死亡広告費用、通夜の費用、飲食代など、葬式の前後に要したその他の費用で、通常葬式に伴うものと認められるもの。
- 遺体の捜査や、遺体や遺骨の運搬に要した費用。
葬式にかかるものの費用はすべて控除対象となりますが、故人の職業、社会的地位、財産から見て適当と認められる範囲に限ります。あまりにも身分不相応な葬儀費用は控除されないこともあります。
次は控除の対象になりません。
- 墓地や仏壇、神棚、神具などの未払代金、および、未払いの管理・維持費。
- 香典返し費用。
- 墓碑および墓地の購入費と墓地の借入料。
- 親族の交通費、喪服借用費。
- 法事に要した費用。
- 医学上または裁判上の遺体の特別な処置に要した費用。(152)
日本の相続税46-相続 保証債務
- At December 15, 2013
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<日本の相続(46)-保証債務>
借金をした人 (債務者) が返済できなくなったとき、代わりに返済しなければならない人のことを「保証人」あるいは「連帯保証人」といいます。保証人が死亡しても保証債務は原則として消滅せず、法定相続の割合にしたがって各相続人に引き継がれます。
相続税の計算過程に債務控除といって、相続財産から借金などの債務を差し引くことが認められる制度があります。控除が認められる債務は、相続開始時にその存在が確実なもの、支払わなければならないものに限られます。相続開始時に債務者が弁済不能の状態にあるため債務者に請求しても返還を受ける見込みがない場合、保証債務は消極財産として確定できます。そして弁済不能の部分の金額に限って債務控除を受けることができます。
被相続人(故人)が保証しているだけで債務の存在が確実ではない場合は、保証債務の履行義務がなく、相続税の計算上、債務控除は認められません。相続の放棄や限定承認によって債務から逃れる選択をしない限り、故人の保証人としての地位を相続によって引き継いだため、相続人は債権者の請求に応じなければなりません。(151)
日本の相続税45-相続 債務控除
- At December 14, 2013
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<日本の相続(45)-債務控除>
相続によって故人から引き継ぐ財産には、預貯金、有価証券、不動産などプラスの財産だけでなく、借金などのマイナス財産(消極財産)も含まれます。相続放棄をしない限り、相続人は故人に代わって借金を返済しなければなりません。債務を引き継いだ場合、相続財産から差し引いて相続税を計算する「債務控除」の制度を利用することができます。
例えば、死亡時点で故人の債務として確実に支払わなければならない住宅ローンなど金融機関への債務、クレジットローンなど各種の未払債務、事業上の買掛金、敷金や保証金などの預り金、生前の医療費・入院費などです。故人にかかる所得税、固定資産税、住民税などの税金で未納のもの、そして、常識的な範囲内の葬式費用も控除が認められます。墓地や仏壇など非課税財産の未払い債務は、債務控除が認められません。
法定相続人や遺言によって包括遺贈を受けた包括受遺者で、故人の債務を負担した人に控除が認められます。相続放棄した人が、生命保険金などから債務を負担した場合は、控除の対象にはなりません。(150)