日本の相続税64-相続 気配相場株式の評価
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<日本の相続(64)-気配相場株式の評価>
気配相場株式は、上場株式と非上場株式の中間的存在で、証券会社の店頭で売買取引が行われている株式や日本証券業協会で登録銘柄として登録されている株式、公開途上にある株式、および国税局長の指定する株式などのことです。一応取引価格が新聞に載っている場合もあります。
気配相場株式の評価方法は次の通りです。
登録銘柄・店頭管理銘柄として指定されている株式――基本的に上場株式の場合と同様、相続開始日の取引価格か、相続が開始された月を含めた過去3か月の取引価格の月平均の中で、最も低い価格で評価します。
公開途上にある株式――公開株価で評価します。株式の上場または登録に際して公募等が行われない場合は,課税時期以前の取引価額を勘案して評価されます。
国税局指定株式――取引価格と類似業種比準価額の平均値、または課税時期の取引価格のいずれか低い方の額で評価します。(169)
日本の相続税63-相続 上場株式の評価
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<日本の相続(63)-上場株式の評価>
株式は上場株式、気配相場株式、非上場株式の3種類に分け、同じ基準ではなくそれぞれ異なる評価方法を使って評価します。上場株式とは、東京、大阪、名古屋、札幌など全国に5か所ある証券取引所のいずれかに上場されている株式です。実際の取引価格(終値)を基に評価しますが、相続日の終値だけを採用すると、たまたま株高になった日に相続があれば相続税が高く計算されて損になります。
そこである程度の幅と評価の安全性を考慮して、次の4価格のうち、最も低い価格で評価します。
① 課税時期(相続日)の終値
② 課税時期の月の終値の月平均額
③ 課税時期の前月の終値の月平均額
④ 課税時期の前々月の終値の月平均額
日々変動する株式相場の運不運をなるべく無くすために、相続日の最終価格と過去3か月最終価格の月平均を調べて、最も低い価格を選べるよう幅を持たせているわけです。
4種類の取引価格のうち①は翌日の新聞の株式欄に掲載されています。②~④は証券会社、証券取引所に問い合わせれば教えてくれます。税務署に聞いてもわかります。(168)
日本の相続税62-相続 家屋の評価
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<日本の相続(62)-家屋の評価>
不動産の相続税評価は、建物と土地を別々に行います。事業用・住居用に関わらず家屋(建物)は、倍率方式を用いて、1棟ごとに評価します。評価の基準は固定資産税評価額であり、その金額に一定の倍率を掛けて相続税評価額を求めます。2007年現在、倍率は全国どこでも1.0倍となっていますので、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額ということになります。
固定資産税評価額を調べるには、税務署ではなく、家屋が所在する市町村役場の固定資産税係で備えている固定資産台帳を見ます。その際、「評価証明書」を取っておくことが勧められます。
家屋を人に貸している場合、借家人に借家権があるため、貸家となっている所有家屋の評価額から「借家権割合」を差し引いて評価します。「借家権割合」は、2007年現在、大阪国税局管内では40%、その他では30%です。門や塀、庭石、池などの庭園設備は、家屋から独立したものとして家屋とは別に評価します。広告塔、煙突、プール、ガソリンスタンドなどを総称して構築物と呼び、これらも庭園施設と同様、一つずつ評価します。別々では利用価値が著しく低くなる場合、まとめて評価します。(167)
日本の相続税61-相続 倍率方式
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<日本の相続(61)-倍率方式>
相続税の基本となる宅地の価格を求める方法に路線価方式と倍率方式があります。宅地には市街地と市街地以外(郊外や農村部)があり、異なった評価方法が適用されます。市街地にある宅地の評価方法が「路線価方式」であり、郊外や農村部など市街地以外の地域にある宅地の評価方法が「倍率方式」です。倍率方式は、固定資産税の評価額に、地域ごとに定められた一定の割合(評価倍率)を掛けて評価する方法です。路線価方式のように、土地の形状による補正の必要がなく、路線価方式と比べてはるかに簡単な方法です。
固定資産税の評価額を調べるには、市町村役場に備えてある固定資産台帳を見ます。また、都税事務所や市役所で評価証明書を出してもらうこともできます。毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に記載されている固定資産税評価額や課税標準額は参考に使います。
評価倍率を調べるには、国税局長によって定められた評価明細書を税務署の資産税担当者に問い合わせて見せてもらうことができます。宅地以外の土地、例えば農地や山林の評価方法は、「倍率方式」または「宅地比準方式」を適用して行います。(166)
日本の相続税60-相続 小規模宅地の評価
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<日本の相続(60)-小規模宅地の評価>
被相続人が事業用や居住用として使っていた土地は、財産という前に生活基盤であり、簡単に処分できない性質のものです。その土地に路線価格が適用されて高額な相続税になり、売却しなければ相続税が払えない事態が起こり得ます。このような実情を配慮して、「小規模宅地等の評価減の特例」が設けられています。この特例は、相続した事業用宅地や居住用宅地のうち限度面積までに限り、通常の評価額から一定割合の減額をして相続税を軽減するものです。
特例の対象となる宅地は、相続税申告書の提出期限までに相続人に分割されていなければなりません。分割されていない場合には、他の要件を満たしていても適用を受けることはできません。
減額の割合は80%と50%の二通りがあり、事業用宅地と居住用宅地については、通常の価格の80%減で評価し、不動産貸付業で賃貸している宅地については、通常の価格の50%減で評価します。
限度面積は、事業用宅地400㎡、居住用宅地240㎡、貸付宅地200㎡です。相続人の人数に関係なく被相続人単位で適用されるため、相続人の人数によって限度面積が増えるということはありません。(165)
日本の相続税59-相続 貸宅地の評価
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<日本の相続(59)-貸宅地の評価>
相続で受け取った土地が、すべて自分のために使える土地とは限りません。貸していて他人の家の敷地となっている土地のことを貸宅地と呼び、借地人にとっては借地権が発生します。土地の所有者から一方的に立ち退きを要求されると借地人が困るので、そうならないよう借地人を守るために作られた権利です。
逆に土地の所有者は借地権があるために、自分の土地を自由にできないという不便さを強いられます。そこで貸宅地については、通常のさら地価格から借地権価格を控除して評価することになっています。借地権価格は、宅地の通常価格に借地権割合を掛け合わせて算出します。借地権割合は、路線価の横にアルファベットで示され、A=90%,B=80%,C=70% D=60%,E=50%,F=40%G=30%となっています。
敷地と家屋の両方が地主の所有財産である貸家建付地の場合、借家人にとっては借家権が発生します。貸宅地の借地権のように借りる側に強い権利が発生するわけでは有りません。ただし、現実問題として借家人にすぐに立ち退きを要求するわけにはいかないので、通常よりは低く評価することになります。(164)
日本の相続税58-相続 路線価修正
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<日本の相続(58)-路線価修正>
土地の評価額を算出する際、宅地の形に応じて路線価を修正しなければなりません。宅地の奥行や間口、道路への面し方などによっても、路線価に修正が加えられます。一方だけが道路に面している宅地には「奥行価格補正率」を用います。奥行の深い土地は道路から遠くなるに従って価値が下がり、評価額も低くなります。
二方向で道路に接している宅地(例えば角地)は、「側方路線影響加算率表」を使って計算しますが、一方だけが道路に接している宅地よりも高く評価されます。二路線に挟まれた宅地も、角地と同じように評価額が高くなります。角地や二つの道路に挟まれた宅地の場合、正面路線価は二つの路線価のうち高い方で、価格が同じ場合は間口の広い方にします。
間口の狭い土地の場合は「間口狭小補正率」を、奥行が長大な土地の場合は「奥行長大補正率」を、三角形や変形の土地は最大で30%評価減の修正が施される「不整形地補正率」を使って修正します。道路に接していない無道路地や袋地もそれぞれの状態に応じて修正が必要です。(163)
日本の相続税57-相続 路線価方式
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<日本の相続(57)-路線価方式>
路線価は、相続税評価額を算出する基礎となる金額です。路線価方式は、市街地にある宅地の評価方法のことです。道路に付けられた価格(路線価)をベースにして、宅地によって異なる形状なども考慮して細やかに評価する方法です。
路線とは、通常不特定多数の人の交通に使われている道路または水路のことで、路線の値段を示す路線価図は、地図の形態になっていて、毎年8月に国税局によって公表されます。市販されているほか、国税庁ホームページ、税務署や税理士会、市区町村役場、図書館などで閲覧できます。死亡時期が1月の場合も12月の場合も、同じ路線価を使います。
路線価方式は、1955にそれまでの賃貸価格倍数方式に替わって導入されました。現在、路線価は、毎年1月1日を評価時点として、売買実例価格、鑑定評価価格、精通者意見価格を参考の上、地価公示価格の8割程度を目処に国税局長が定めています。間口の広さと奥行がほぼ同じ正方形かそれに近い標準的な形を想定して決定された価格です。宅地の形状によって、それに見合った路線価に修正する必要が生じてきます。(162)
日本の相続税56-相続 相続財産の評価
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<日本の相続(56)-相続財産の評価>
相続税額を計算するには、まず対象となる相続財産にいくらの価値があるかを把握する必要があります。相続財産がすべて金銭なら、財産の価格がいくらか明白ですが、実情は土地や家屋など価格の見積もりが難しい財産もあります。
相続税法は、ごく一部の財産は特別な評価方法により、そのほかの財産は「時価により」決定すると定め、個々の財産の時価を公平に算定する具体的な評価基準である「財産評価基本通達」を設けています。遺産分割では相続開始時点の「相場」を基準に時価評価しますが、相続税の申告に用いる評価額はでは国税庁の基本通達に従って時価評価します。したがって、遺産分割と相続税計算の財産評価は、異なる金額になることもあります。
国外財産を相続した場合、課税時期現在の売買実例価格等を参考にして評価します。外国の土地の評価は、その国における相続税の計算の基礎となった土地の価格で、鑑定評価に基づいて合理的に算定されたものでなければなりません。相続税の申告で最も重要である相続財産の評価は、非常に厄介であり、かなりの専門知識が要求されます。(161)
日本の相続税55-外国税額控除
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<日本の相続税(55)-外国税額控除>
故人の財産が日本国内ばかりでなく外国にもあり、日本に居住している相続人がそれらの財産を受け継いだ場合、全世界にあるすべての財産が日本で課税対象となって相続税が課されます。国外財産を受け継いだ相続人が、外国に住む外国籍保持者であれば相続税は課されません。日本国籍の場合、相続人と被相続人のいずれかが相続前5年以内に日本に住所を有したことがあれば、国外財産であっても相続税の課税対象となります。従って、配偶者や子などの相続人はもちろん、被相続人が日本に居住している限り、海外投資(国外財産)はたとえ現地で非課税であったとしても、日本で税金がかかるため節税にはなりません。
財産の所在国において、日本の相続税に相当する税金(例えば米国の遺産税)の対象となることがあります。この場合、同一財産に日本と外国で二重に相続税が課されることになります。そこで、この国際的二重課税を排除するため、外国で課税された税金は、日本の相続税から控除することが認められています。これを外国税額控除と呼びます。外国の税率が日本より低い場合に、外国税は全額控除が認められます。(160)